【後編】最低賃金が上がるたびに、給与を直すのをやめませんか?
最低賃金の上昇で起こる給与バランスの問題について前編では、最低賃金の上昇に合わせて新卒給与だけを引き上げることで、既存スタッフとの給与差が縮まってしまうことについて書きました。
では、どうすればいいのでしょうか。
私はまず、給与テーブルをつくることをおすすめします。
▼前編のコラムはこちらからご覧いただけます。
【前編】新卒の給与を上げたら、先輩とほぼ同じになった。
そもそも「給与テーブル」がない病院も多い
動物病院の給与制度を見ていると、
「新卒は20万円」
「昇給は年1回」
「その後は院長判断」
という病院も珍しくありません。
スタッフ数が少ないうちは、それでも運用できてしまいます。
ところが最低賃金が大きく上昇していくと、この方法では給与のバランスに歪みが生まれやすくなります。
- 新卒給与を上げる。
既存スタッフとの差が縮まる。
既存スタッフも少し上げる。
また最低賃金が上がる。
また新卒給与を上げる。
これでは毎年、給与の“つぎはぎ”をしているようなものです。
① まず、全員の給与を並べてみる
難しい制度をいきなり作る必要はありません。
まずやってほしいことは、とてもシンプルです。
今いるスタッフの給与を一覧にして、新卒給与と並べてみること。
1年目はいくら。
2年目はいくら。
3年目はいくら。
リーダーはいくら。
そして、「この差は、経験や役割の違いとして納得できるだろうか?」と考えてみてください。
意外なところで給与が逆転していたり、5年間働いているスタッフと新人との差がほとんどなかったりするかもしれません。
まずは現状を“見える化”することです。
② 2~3年先を見据えた給与テーブルをつくる
次に考えたいのが、給与テーブルです。
ポイントは、今の最低賃金ギリギリで設計しないこと。
最低賃金が上がった翌年に、また給与テーブルを全部作り直すことになったら意味がありません。
最低賃金が今後も上昇する可能性を考え、一定の余裕を持たせてスタート地点を決める。
そのうえで、
新卒・未経験
↓
基本的な業務を一人でできる
↓
任せられる仕事が増える
↓
後輩を指導できる
↓
チームをまとめる役割を担う
というように、経験や能力、役割が上がれば、給与も上がっていく形をつくります。
「何年働いたから○円」だけではなく、「何ができるようになったら、どう給与が上がるのか」
が見えることが大切です。
給与テーブルをつくると、「評価」も必要になる
ここまで考えると、もう一つ出てくるのが評価の問題です。
「できる仕事が増えたら給与を上げる」と決めたら、
「では、“できるようになった”ことを誰が、どう判断するのか?」
も決めなければなりません。
つまり、給与テーブルと評価制度は、本来切り離して考えるものではありません。
何を期待しているのか。
何ができるようになれば次の段階なのか。
それを誰がどう評価するのか。
ここまで整理できれば、スタッフ側にとっても、
「頑張ったら、どう成長して、どう給与が上がっていくのか」
が見えやすくなります。
ただ、評価制度についてはそれだけで大きなテーマになります。
今回はまず、給与設計に絞って話を進めます。
③ その給与テーブル、本当に払えますか?
ここ、とても重要です。
理想的な給与テーブルをつくっても、
病院が払えなければ続きません。
作った給与テーブルに今いるスタッフ全員を当てはめて、
年間の人件費がどのくらい増えるのか
を必ず試算します。
既存スタッフを大切にしたい。
だからといって、経営を圧迫するほど固定人件費を増やしてしまえば、制度そのものを維持できなくなります。
大切なのは、
「理想の給与制度をつくること」ではなく、「病院が継続して運用できる給与制度をつくること」。
だと思います。
必要に応じて、月例給与だけを見るのではなく、賞与を含めた年間人件費全体で支給バランスを考えることも一つの方法です。
「最低賃金が上がった。今年はいくら上げる?」から卒業する
最低賃金が上がる。
新卒給与を上げる。
既存スタッフとの差が縮まる。
また給与を調整する。
毎年これを繰り返すのではなく、一度立ち止まって考えてみてください。
これから入社する人も大切です。
でも、そのために今、病院を支えてくれているスタッフを置き去りにしてほしくありません。
そして、既存スタッフを大切にすることと、病院経営を守ることは、どちらか一方を選ぶ話でもありません。
だからこそ、まずは、
① 新卒と既存スタッフの給与を並べる
② 2~3年先を見据えた給与テーブルをつくる
③ 全スタッフを当てはめて年間人件費を試算する
この3つから始めてみてはいかがでしょうか。
最低賃金が上がるたびに、慌てて新卒の初任給だけを書き換える。
そろそろ、その対応から卒業しませんか。
給与テーブル・評価制度の設計にお困りの動物病院さまへ
COME TOGETHERでは、動物病院の規模や現在の給与水準、人件費とのバランスを踏まえた給与テーブルの設計・見直しをサポートしています。
また、「何ができるようになったら、どう評価し、給与に反映するのか」まで整理したい病院さまには、評価制度の設計もあわせて支援しています。
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